やせましたね太りましたねハゲましたね
結婚してるの?結婚しないの?子供はいるの?
僕は会話でこういうタイプの言葉を相手に投げかけることは、極力しないようにしている。めったなことでは年齢も聞かない。どんなに親しい人でも、その人の属性や、不可抗力的な部分に言及することは、大きなお世話だからである。また、答えを聞いたところで、どうってことはないからである。
言葉を発するなら、
調子はどう?
元気だった?
久しぶりだね
これだけだ。
あとは相手の言葉を待ち、沈黙の試練に耐え、それを受け止めるだけでいい。これだけで、あなたは周囲から「感じのいいひと」という評価が得られること請け合いである。
相手に関心を持ち、積極的にかかわろうと質問をする、この磁力から逃れることは難しい。だがそのひとことは相手にとって、たいへん高い確率で「よけいな一言」である。テーマが何もない会話や、くだけたおしゃべり、とりつくろうような言葉が必要な会話ほど、そうした「よけい」が出やすく、したがって災いの元となる。
「なにか話したいと口がムズムズするときは…明日のことを話せ」-映画「レザボア・ドッグス」(1992年)より
これが秘訣だ。
<了>