リリカルで、叙情的で、凛としてて、静謐で、清々しい。
アレンジも音の組み立ても、立体感がありながらもわざとらしくなく、オーガニックに響く。
この頃(1971年)のホール&オーツこそ、音楽。キミとぼくの境目を溶かす、本当のコミュニケーション。岡田史子のマンガのように刺さるこの滋味。人は単に人であるのでない。人は連鎖の結束点だ。人がいて人に魅了し魅了される、そのこと以外に、この世に素晴らしいものなんて何もない。分かってるだろ。
かくも包容力のある、このような優れた音は、相互の浸潤こそが真理への道程という直観を支える、そんなか細い糸。豊かにしなる蜘蛛の糸。
キミは何もわかっちゃいないが、すべてを「知っている」。ぼくはキミに降参だ。
<了>