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【書評】「ひとまず、信じない―情報氾濫時代の生き方」 押井守(著)

 

ひとまず、信じない - 情報氾濫時代の生き方 (中公新書ラクレ)

ひとまず、信じない - 情報氾濫時代の生き方 (中公新書ラクレ)

 

 

セカイがつまらないと思ってるあなたに向けて。

対談本の出版が最近続いたが、久しぶりの押井守単書が登場した。いままでの筆者の主張が、仕事や政治、幸福と言った切り口から入って、平易な読みやすい文体でつづられている。たいへん良い内容で、いろんなひとに薦めたい。

サクッと読めるが奥は深い。過去に読んだなにかの焼き直しでもないので、新鮮味を失っていない。よく多数の著書を出せるものだと、感心してしまうほどだ。著述家として一流である。映画監督の才能の延長に思える。

内容は前半は老若男女に向けた、ほとんど究極の人間指南書。
甘ちょろいものや、おためごかしに惑わされない芯を教える。
後半は絵空事としての映画の中に魂を盛り込まなければ、映画監督はテーマを持てない。テーマがなけりゃ仕事じゃないという、これまた「芯」の教えである。

書名の「ひとまず、信じない」は、本書のどこにも直接記述がない。
編集がつけた書名なのかもしれないが、これでいい。何から何まで言わなくていい。

私はよく書評を書くが、書評とは本の内容を自分なりに言い換えることだと思ってる。
よって本書の内容を私なりに言えば、以下のようになる。

セカイがつまらないと思ってる人は多い。
でも「つまらないこと」の検証を怠ってるなら、つまらない対象はつまらないままだ。
「つまらないこと」の方からは干渉してこないから、そのことに、自分で気づいてあげないといけないのだ。

となる。とにかくこの本はいい。読めば分かる。
 
<了>