クルマの中のハエ
一匹のハエが車の中を飛び回ってる。彼にとってこの空間は無限だろうが、しかし人から見たら狭い空間である。しかもハエは走行中の車内で飛ぶことによって、自分の飛翔能力以上に空間移動できてるという錯覚も生じる。
これが現代人の姿でなくて何か。
今度は対向車とすれ違う。車窓に貼り付いたハエ君は、対向車のウィンドウに、同じように貼り付いてる自分と同種のハエを見る。向こうでも気付いて、お互いを窓越しに数秒見つめ合う。しかしすぐ離されていく。お互いがなんなのか、考える間もなく。
これも現代人の姿でなくて何であろうか。
ひとはいつも蠅のように迷子だし、錯覚をエサに生きる。スマホをのぞいても解は出てないし、SNSもヒマつぶし以外のなにものでもない。
これがホントのインスタバエ。
<了>