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お金に困ったら読むブログ

みんなが「ホントの仕事」に従事すれば、日本は良くなるし、世界にもいいことあるよ、たぶん。



諸刃のビジネス論~あびるやすみつ著「マンガでわかるアフィリエイト」書評より。

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枝豆(edamame)は、いま海外でも低カロリーなヘルシーフードとして定着してきているという(本文とは無関係です)
 
 
 あびるやすみつ著「マンガでわかるアフィリエイト」(2014年刊行)

 

<ネットビジネスの代表格「アフィリエイト」を斬る内容>

 

アフィリエイトを「アフィ」などと略して悦に入ってる自分を恥じた本。分かりやすい体裁をまとってはいるが、内容はシビアだ。

足掛け5年ほどアフィリエイト関係の本を発刊の都度読んではいるが(特に秀和システム刊が多い。いい稼ぎになってるだろう)、ここ数年は作者は違えど内容は似たり寄ったりになっている。

当然だ。アフィリエイトってウェブを使ってるけど本質は古来からある紹介斡旋業。基本的に儲けの方法論は自分の言葉で相手を説得し、他者(社)の商材購入に結び付けるという直線、単線のカタチでしかない。
ウェブの方だって技術的には成熟の過程にあるから新手のテクニック紹介にも限りがあろう。
継続購入の考えが適用されにくいのもむべなるかな。ノウハウと呼べるコアは自分の蓄積しかない。
音楽理論を習得するスクールは山とあるが、それだけでは「作曲センス」は培われにくいのに似ている。
 


あびるサンの本も全部読んでいるが、アフィリエイトに関する3冊目となる本著で書かれている内容は、いままでの著作に通底するテーマが繰り返されている印象を受けた。今までと共通するテーマ、それはすなわちアフィリエイトの功罪、情報商材の告発、プログラムの重要性、というもの。これらが繰り返し主張されている。
新機軸としては自身の経歴を振り返り、会社経営の難しさやIT業界人への鼓舞(?)といったところか。
もしこのまま刊行されていたなら、従来の著書との差別化は難しく、ワンパターンのそしりは免れなかっただろう。

ところがあにはからんや、あびるサンご自分でも重複が多いと思ったのか、本書ではマンガ(よく描けていて感心する)+トラブルに対する弁護士の見解という、第三者視座の「ヒネリ」を効かせた。特にマンガ導入はマンネリ打破と親しみやすさの熟成には大変効果的で、ワタシもマンガの威力には着目していたこともあって、この方法論には感心した。

また本著の、「第三者のヒネリを加えた構成」自体がアフィリエイトのノウハウに関する優れた暗喩となっている。
すなわち事象をヒネる裏返す分解する使ってみる気付いてみる。その体験に自分なりの文章、画像、プログラムでも可だがとにかく「魂」的なエッセンスを加え、読み手のニーズを想像しながら心理的要素も考えながらwebコンテンツをつくる。
その先にSEOがあってアクセス解析等があって売買があって、そして最後に自分への利益がある。
本著の企画執筆はこの流れそのものではないだろうか。
だからその逆の行き方を提唱してかどわかすのがいわゆる悪徳商材だし、それがブラックマーケティングになりうる。

本書のこの諧謔に気付くか気付かないかが、「アフィ」で稼げる稼げないの思考にまつわる分水嶺なのだと思った。

偉そうに言わせてもらえばビジネスの基本にして極意は「世の中を斜めから観察し、他の方の役に立つことを発見し、付加価値をつけて提供する」こと。
そして「独自性を保ちレッドオーシャンに埋没せず、適切な利幅で注文を頂く(できれば繰り返しで、重層的、多角的に)」と理解している。

その商売の鉄則の先に方法論の選択があり、そのまた更に先にアフィリエイトが販路というか宣伝手段のひとつとして存在する。
アフィリエイトは単なる仕組みだから正攻法ではどう転んでもそれ自体はゼニを生まない(はず)。
(「それ自体」で利益を得ている人もいるようだけれど、それはどうにも違和感が拭えない)。

日々精魂を傾けるなら本業のスジをゆるぎのない骨太構造にする方が先だろうし、その場合はビジネス当事者が直接仕事を支配するわけなので、速攻にして即効の場合も多い。
対して正攻法アフィリエイトは成果獲得に時間がかかる。なぜか?それはどうしても「間接」だから。
そのウザイ過程をショートカットしたい欲求こそがエセ商材のゴキブリホイホイとなろう。

「アフィ」のノウハウが大事なフェーズもあるが、それはメインではなくてやはり「従」。「アフィ」に拘泥するのはほどほどにしたい。

というか、本業が軌道に乗ったならアフィリエイトは他の皆さんに宣伝していただくプラットフォームに転ずる。

ゆめ「アフィ」の前で奴隷にならぬように。アフィリエイトで儲けたかったら、「アフィ」を超えて自分なりのアフィリエイトに昇華せよ。

これが本書のテーマだ。

それと前の書も、その前の本も、読んでいるとあびるさんの人格すら見えてくる点で、これは本書でも言及されている「セルフブランディング」そのものだと思った。
あびるサンには出版社というパートナーがあるが、これもご自分で獲得されたもの。もてる人をうらやむのでなく、拠って立つならネットでもSNSでもリアルでも、自前の旗を掲げる気概を持ちたい。理解者がいなくとも。
 


現在ほど「仕事とは?」「働くこととは?」が問われている時代はない。

いや、そんな本質はバブル時代も高度成長期にもずっと地下水脈のように我々を取り巻いていたはずだ。

ひとたびその傾向に気付けば、いまは残酷なまでに本質がムキ出しになっているのが分かるだろう。

リストラとか事業再編、社畜やブラックというトレンド(?)は表層に現れた現象であって、そのすべてが我々に「お前自身の本当のゼニ稼ぎは何だ?」という刃を突きつけている。

会社勤めや役所勤務は単なる労働ステータス(勤務の状態)である。それ自体は仕事ではない。

「ほんとうの仕事」は組織に所属しただけでは自動取得なんかできないはずだが、そのことは極めて自覚しにくくなっている。昔から。

そんな2014年にあびるサンはアフィリエイトのプロというスタンスから、独立系ならではの労働の奥義を定義せんとしている。行間に、多くの労苦や落胆、そして誠実さと喜びが詰まっている。
冒頭に書いたやわらかな文体でシビアな内容というのはそこだ。けだし、良書である。
 


<了>