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みんなが「ホントの仕事」に従事すれば、日本は良くなるし、世界にもいいことあるよ、たぶん。



主体的に取り組むのでなければ、意味はない。

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ラーメン食べたい。(本文とは関係ありません)


<仕事をめぐる、ある日の光景>

あるところに伊藤さん(仮名)という、パソコンにあんまり詳しくない人がいました。その伊藤さんに、自作パソコンを組み立てて納品した業者のAというのがいました。そのパソコンに伊藤さんは、ソフト会社Bから買ったソフトを入れて、使っていたのでした。

 

ところがある日、そのソフトの調子が悪くなりました。困った伊藤さんはどこに問い合わせしていいか分からず、パソコンのことなんだからってことでAに連絡を入れました。

 

Aは「不具合の真の原因はソフトの方なんじゃないかな…」と言いたい気持ちがありましたが、困ってる伊藤さんを放ってはおけないので、伊藤さんの元にすぐに駆けつけ、ソフトの開発会社Bに何度も電話したり、パソコンの設定を色々変えてみたり、そのソフトを再インストールしてみたり、いろいろやってるうちに日が暮れて、その日は解決しませんでした。

 

あくる朝一番に、Aは伊藤さんに電話を入れ、今日の状況を聞いてみましたが、やはりダメなままです。

 

そこでその日もAは午前中から伊藤さん宅に伺い、パソコンに向かって原因の究明と対策に従事しました。
そして昼前にようやく原因らしきものを掴んで、直したのです。
原因はインターネットのセキュリティソフトの妨害であり、これはユーザーである伊藤さんが入れたものでした。

 

原因も分かったのでAは伊藤さんに「世の中にはセキュリティをかたる悪質ソフトもあるので、ネット経由でのダウンロードは慎重を期すように」との注意を促し、この件は終了しました。

 

めでたしめでたし…

 

……

 

ではない、本当の仕事論的には。

 

ここでは結果的にパソコン業者Aの個人プレーで何とかなったが、この過程でソフト会社Bは伊藤さんになんら関与してない。
ただAからの質問に答えただけだ。そしてその質問の中でAは伊藤さんの名前を出している。にもかかわらず、その後もB社は伊藤さんに対して何もしなかった。

 

本当にB社が自分のソフトもユーザーも大事に思ってるのなら、聞かれたことに答えるだけでなく、Aや伊藤さん、またはその両者に対し、何らかのコミットを提案し、自発的、主体的に動こうとするだろう。


結果的に直らないかもしれない、空振りに終わるかもしれない。Aの作成したパソコンに原因があるという結論になるかもしれない。

 

しかし「放ってはおけない」という気迫で、状況に食い込んでいくのが本当である。結果はどうあれ、これがスジの通った大人の初期対応である。

 

でもその動きはなかった。翌日になっても翌々日になっても、B社から伊藤さんへのフォローの電話はなく、直ったかどうかの状況確認もない。したがってAへのお礼の電話等も一切ない。

 

B社の担当は「(電話が来なくなったから)なんかいつの間にか直ったんじゃないかな…」とでもぼんやり思ってるに違いないがそれはとんだ間違いで、Aが採算度外視で当事者意識をもって「直した」のだ。
B社担当から電話で聞いたサジェスチョンは役に立ったが、それとてAからの的確な問いかけがあったからだ。


正しい問題提起は、しばしば答えより大事なときがある。

 

いや、B社の担当は何の反応もないことから想像すると、その後も伊藤さんのことなんか一顧だにせず、自分の「仕事」だけして夕方にはタイムカード押して帰宅してるのかもしれない。もしかしたら残業ゼロみたいな部分では社内評価の高い人材だったりして。

 

だが今回の一点だけで強引に判断してしまうが、上に書いたような他人事行為は単なるサラリーマン(悪い意味の)かそれ以下の給料泥棒的存在であり、「本当の仕事」の名に値しない(販売会社にとって、ユーザーのトラブル以上に大事な事態はない)。自ら状況に切り込んでいく迫力が見えない仕事は、仕事のうちに入らないし、この矜持のなさは自社の製品/評価を矮小化する結果しか生まない。そして大きなお世話だがその人の、その後の人生にもよくない。

 

AはB社からねぎらいの言葉が欲しいのではない。約定や契約書みたいな明文化された領域以外でも筋を通してほしいだけだ。この過程での救いがあったとすれば、伊藤さんのトラブルが解決できたことと、伊藤さんのAに対する株が上がって、B社に対する評価は下がったことだ。

 

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世の中に目を転じれば、いまはコールセンターばかりである。しかしこれだけ時代が進み、ビジネスフォーマットも進歩/洗練/多様化したに違いない2016年でも、本当に満足いくコールセンターは多くはない。


コールセンターといえばいっとう最初に顧客と接点を持つ場だが、ここに寄せられる質問/苦情ほど、ビジネスの次のネタになるものはない。であればここにこそ、自社サービスに精通し、かつ洞察力の優れた優秀な人材が必要だろう。社長が対応しても良いくらいだが、そのことに意識的な企業はどのくらいあるのだろう?


ユーザーとの面倒なかかわりを避け、フロント営業なのに派遣社員にゲタを預ける、そんな企業に明日はない。
(派遣社員が無能と言ってるわけではなく、主体的な関わりを迂回する態度を批判している。念のため)

 

仕事は平穏無事なときだけでなく、いつかは何かトラブルが起きる。そしてそのときこそが、ほんとうに腹の据えどころである。

 

問題が起きたとき、どういう態度が取れるのか。石にかじりついてでも状況に喰らい付くのか、それともすぐにサジを投げるのか。また、解決した後も相手へのフォローや再発防止に取り組めるのか。
それがその人が日ごろ仕事をどう捉えているかを如実に示す。

 

そう、主体的に取り組むのでなければ、意味はないのである。

 

しかし今回も偉そうだね、僕はw

なんつっても、上の例の"業者A"っていうのは、僕のことだからねwww

 

<了>